スタッフブログ木曜日担当の眉毛おじさんこと竹村です。
前回の続き。
「竹村君。次回出す社内報を手伝ってくれないか」というK次長の一言で、初めての仕事らしい仕事をすることになりました。
私自身、大学の時にサークル内の小冊子を作ったくらいしか経験はなく、書籍の制作に携わるのは初めてでした。
やっとまともな仕事ができるという安ど感と、未知の世界に踏み込む不安感、期待感が体を包み込みました。
次号の社内報はすでに企画、構成は済んでいましたので、取材、写真撮影、文章作成や校正の仕事を編集長であるK次長のアシスタントとして携わることになりました。
最初の仕事は「建設中の現場での写真撮影」でした。
工事部に事前にヒアリングし、労務安全担当の先輩社員に安全帯の使い方や現場の歩き方、危険回避方法などのレクチャーを受け、準備を整えて写真撮影する日を迎えました。
作業着に着替え、ヘルメットと長靴を持参し、会社の前に横付けされたカメラマンの車に乗り込みました。
そのカメラマンの車は撮影機材で満載。私とカメラマンの2人では心細かったのですが、K次長の「10年現場撮影しているカメラマンだから、安心して行っておいで」と突き放され、ドキドキしながら現場に向かいました。
話好きなカメラマンに助けられ、世間話をしながら向かった現場は今でも忘れません。具体的な場所は明かせませんが、重要施設の下にトンネルを作る工事の現場です。
現場事務所に到着後、現場入所用のレンタカーに乗り換え、現場に向かいました。
非常にセキュリティの厳しい現場で、入構証がないと入れませんでした。入構証を紛失したら現場を止めて探すくらい厳しい管理がなされていました。
初めて見たトンネル工事現場は、一言で表すと「壮大」。
これが人間の手で作り出されているということに、素直に感動しました。
肝心の写真撮影は、現場撮影に慣れているカメラマンが進めてくれています。私は壮大な現場を見ながら、付き添ってくれた社員と話していました。
そこでの会話。
「竹村君。君のヘルメットにも私のヘルメットにも2本の線が刻まれているよね。これがどういう意味か分かるかい?」
「・・・」
「同じヘルメットでも、線が1本しかないヘルメットや線がないヘルメットをかぶっている人がいるだろう。彼らはうちの会社の協力会社の人、つまり作業員なんだ」
「そうなんですか」
「彼らの中には、私よりも長い年月工事に携わっている人がたくさんいる。この2本線は経験でもらえるものではないんだ」
「我々社員は、彼らの命を守る使命を負っている。彼らに万が一のことが起きれば、私や会社が責任を取らなければならない。それはベテランの社員だろうが、新入社員だろうが、同じなんだ。それくらい、この2本線のヘルメットは重いものなんだよ。君も将来、模範とされる社員となるよう頑張れ!」
他人の命を背負う…。
社員になって初めて、社会人としての「責任」を痛感した日でした。
写真撮影も無事終わり、現場事務所に戻って現場所長とのスナップ写真を撮影し、現場を後にしました。車の窓ガラスに映った自分の顔は、少し違って見えました。
続きは次回。