スタッフブログ木曜日担当、眉毛おじさんこと竹村です。
前回の続き。
地獄の夏合宿を乗り切り、ホテルでのサービスの楽しさを知った大学1年生の夏が終わりました。
何かにつけて行事の多いホテル研究会。ボウリング大会や秋合宿、訳の分からない飲み会や、彼氏彼女のいない部員が憂さ晴らしをするクリスマス終夜ドライブ、正月の箱根プリンスホテルでのアルバイト(冬の時期は純粋なアルバイトで、ベルボーイに変わりはありませんが)を経て、大学2年の新歓の時期を迎えました。
新入部員を勧誘する大事な行事です。数えきれないほどの部活やサークルが大学のキャンパスに所狭しと机を並べ、新入部員を勧誘しています。
2年生の私たちは机の前に立ち、必死に新入生に声をかけました。
3年生は部室に待機し、勧誘してきた学生の説得役に回っています。
前年より部員の数は少ないものの新入生が入部しました。
そして迎えた夏のホテル実習。私は前年と同じく箱根プリンスホテルへ派遣されることになりました。
事件が起きました。
実習開始から2週間たったある日、男子1年生の一人が置き手紙を残して失踪したのです。
「どうかそっとそっとしておいてください」とだけ書かれた手紙。
実習リーダーの3年生が、青くなって各所に連絡しましたが、一向に本人と連絡が取れません。
結局、1週間後、実家に帰っていることが判明。事なきを得てほっとしましたが、その間、気が気ではありませんでした。
失踪の原因は、「体育会気質」。
有無を言わさない上下関係、理不尽な後輩への要求、集団生活の長期化によるメンタルの低下が耐えられなかったのだと思います。
その1年生は退部しました。ホテル観光業界に強い興味を持ち、将来は就職も考えていた学生でした。その学生の未来をつぶした責任は、私にもあると今でも思っています。
今、私は、「耐えられなくなって心が衰弱していくのがわかっているうちに辞めればいい」と思っています。前提として、他人に現状を伝えることをしてから。
他人は、意外に暖かい。伝えることで理解してもらうこともありますから。
社会人になって、会社を辞めていく人間を多数見てきました。心をすり減らして相談に来る社員は、心の状態が戻るまで辞めさせないように対応しました。
二度と大学時代の苦い思いをさせない、しないつもりで。
そんな大変な実習の中でもうれしいことがありました。
前年にお越しいただいた家族連れのお客様が今年も来館されたのです。実は、その次の年もお越しになりました。顧客になっていただいたんだと、少しは自分のやったこともよかったんだなと。
少し大きくなった女の子を見て、1年たったんだなあと感慨深かったことを覚えています。
波乱万丈の実習を終え、大学2年も過ぎていきました。
そして、1年生は全員、ホテル研究会から去っていきました。
続きは次回で。