こんにちは。
スタッフブログ、木曜日担当の眉毛おじさんことキャリぷら東京スタッフの竹村です。
前回の続き。
大学に入り、サークルはホテル研究会に所属しました。私は法学部に進学しましたが、勉強については、基礎文献購読という1年からのゼミに入って学ぶ以外、ほとんど授業に出ませんでした。
今の学生は驚くかもしれませんが、当時は「大学レジャーランド」と言われていたほど、勉強しない学生がたくさんいたのです。言い訳ですが。
ですから、大学の授業で思い出に残っているのは、現国際協力機構理事長の北岡伸一先生の「政治学」と、ゼミの担当教授だった野村浩一先生の「現代中国政治理論」くらい。政治に興味があったので政治学に関係する授業には参加していました。
それでも毎日大学には通っていました。部室に通学し、部室から帰る日々。
さて、ホテル研究会に入部した私ですが、連日の飲み会(当時は大学生になったら飲酒OKという風潮がありました)で上下関係を叩き込まれ、中学、高校と男子校だったため、女子大生が一緒の空間にいるという驚きと、4年生の女性の先輩の大人の雰囲気に飲み込まれ、都内のシティホテル見学をはさみ、あれよあれよという間に夏休みが近づき、いよいよ夏の実習の時期が来ました。
神戸六甲、八丈島、箱根の3班に部員が分かれ、それぞれ高級リゾートホテルで実習します。
私は箱根班に入り、箱根プリンスホテル(現ザ・プリンス箱根芦ノ湖)でベルボーイをすることになりました。
ホテルマン。格好の良い制服に身を包み、柔らかなサービスとさわやかな笑顔でお客様を迎えるイメージでしたが、実際は厳しいこと厳しいこと。
リゾートホテルは7月8月が一年で最も忙しい時期。社員は実習生に教える暇もありません。ホテル研究会は何年も実習しているので、教える役は3年生の実習リーダー。このリーダーはその後プリンスホテルに就職し、現在常務執行役員を務めています。
駐車場で車の誘導から始まり、徐々に先輩と一緒にお客様をルームにご案内する役をするようになりました。
そのリーダーから口を酸っぱくして言われたことが、「どのお客様でも同じ接客をすること」。お客様の区別をしないということです。
ホテルにくるお客様には、度々ホテルを訪れてくれる顧客(HC=Hotel Customer)も要人(VIP=Very Important Person,IP=Important Person)もいます。そうでないお客様に対しても同じ接客をするということは、裏を返せば、「どのお客様にもVIPのお客様に対応するような最高の接客を提供する」ということです。
それを守らず、リーダーからこっぴどく叱られたことがあります。
チェックインの時から顔見知りになったお客様が外出先からホテルに戻られた際、玄関に立っていたベルボーイの社員や先輩を差し置いて、お客様の荷物を持とうとしたとき、リーダーから腕をつかまれ引き戻されました。その後、ベルデスク裏に呼び出され、「何を考えているんだ!お前のお客様じゃないぞ!ホテルのお客様なんだ!」と。その時はすぐに理解できませんでしたが、平等に接するとはこのことなんだと後から気づきました。
今になって思えば、それが「ブランドイメージを守る」ということなんだと思います。
どの組織でも、譲れないものがあります。
個人では譲っても、組織として譲れないものは譲ってはいけない。
その後の社会人人生でも、この経験は活きています。
地獄の実習はまだまだ続きます。
次回もお楽しみに。