スタッフブログ木曜日担当の眉毛おじさんこと竹村です。
前回の続き。
入社して1か月。
だいぶ仕事にも慣れて、いろいろな部署の人とのコミュニケーションもとるようになってきました。
ここでいうコミュニケーションとは「飲みニケーション」。
当時の建設会社(今もそうかもしれませんが)は、就業時間が終わると、オフィスのいたるところで「酒盛り」が行われていました。冷蔵庫からビールを取り出し、ストックしていた乾き物のつまみを用意して、打ち合わせテーブルやデスクの島で「酒盛り」が始まります。たまに、社長室でも宴会が催されていました。
私は、新人の立場を利用して、日替わりでそれらの「コミュニティ」を訪れ、話の輪に入っていきました。
建設会社の社員は、就業時間中は総じて寡黙です。一言居士というのでしょうか、打ち合わせでも活発な議論が展開されることは稀です。
ところが、飲み会になるとみんな別人になります。酒が入ると途端に饒舌になり百家争鳴。昔の工事の苦労話や、営業の苦労話、今問題になっている設計の話などを楽しそうに話していました。
集まる人や集まる部署など、日によって変わりますが、毎日社内のどこかで酒盛りが行われていましたので、様々な社員の話を聞ける場には事欠きませんでした。
ある日、設計の酒盛りに参加した時、入社10年目の先輩(Mさん)から言われた言葉が今でも忘れられません。
「竹村君。学生時代の試験の解答と、ビジネスマンのお客様への解答の違いがわかるかい?」
「えー…。なんでしょう…」
「学生時代の試験は、基本的に教科書は持ち込めない。公式を覚え、一つしかない回答を探し、答えるよね。記憶力、暗記力が試される」
「はい」
「ビジネスマンがお客様に出す答えは、どんな本を見ても、誰に聞いてもいいんだ。強いて言えば、『この公式はあの本に載っていたな』という記憶力は必要だ。目の前の課題に取り組み、自分で調べ、わからなければ人に聞いて答えを出す。それがビジネスマンの能力なんだよ」
と言われました。
土木設計はすべてが一品生産。地質や地形は一つとして同じものがありません。観て聴いて、過去の記憶を掘り起こして似たような経験を探し、当てはめるだけではなくお客様の要望に応える設計をすること。そういう経験を重ねてきたからこその言葉でしょう。
このことは、ビジネスマンの答えはすべて未来にあるということを感じさせられました。
このようなコミュニケーションを取りながら、一歩一歩会社員としての道を歩んでいきました。
続きは次回。